
私は26歳の時に、地元・故郷で軟式野球チームを立ち上げました。
今年で6シーズン目に突入します。
私たちのチームは幸運なことに、実力のある選手がそろっています。
東京六大学野球を経験した選手や、高校時代に名門校で主力を張っていた選手たちが複数在籍しています。
そんな中で、
野球未経験である一人の選手は、チーム創立当初から大会のたびに
自分の存在価値を見出せずに悩んでいました。
その姿を、私はずっと近くで見てきました。
東日本大会で県大会を優勝し、全国大会への切符を掴んだ時でさえ、
彼の笑顔はどこか取り繕ったように見えました。
その表情を見た瞬間、
「なんとかしてあげたい」
そう強く感じたことを、今でもはっきり覚えています。
彼自身も、実力的にプレーで大きく貢献することは難しいと理解したうえで、
チームに所属しているようでした。
それでも私は、
どんな選手にも野球の楽しさを味わってほしい。
そう思い、何かできることはないか考え続けました。
正直、すぐに答えが出たわけではありません。
考えた末に私が目を向けたのが、
彼の走力でした。
野球には「ピンチ代走」という役割があります。
ここを徹底的に磨けば、
彼がチームに貢献できる場面をつくれるかもしれない。
そう考えました。
この提案をすると、彼は
「貢献できる可能性があるなら」
と、前向きに受け入れてくれました。
そこから彼は、
「走塁では誰にも負けない」
ことを目標に、活動の方向性を大きく変えていきます。
試合に出ていない時も、
相手投手の癖を研究し、
いつでも試合に出られる準備を怠らない。
役割を与えられたことで、
彼の野球への向き合い方は明らかに変わっていきました。
そしてその提案から2年後、
彼はチーム最多盗塁のタイトルを獲得します。
スタメンも目指したい。
けれど、今の役割に大きなやりがいを感じながら、
いきいきとプレーする彼の姿があります。
その姿を見て、
私自身もまた、大きな刺激を受けながらチーム運営に向き合えています。
まんべんなく何でもできることを目指すのではなく、
自分の強みを磨く。
それは野球だけでなく、
人生においても共通することなのだと、私は彼から学びました。
今、何かに悩んでいる人。
自分の存在価値を疑ってしまっている人。
そんな人に、
この経験が届いたら嬉しいです。
三十路パパ

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